雨は僕に経験をくれた。~大井町マルシェライブ~

今日は8月の大井町マルシェライブだ。

天気予報は雨模様。

野外ライヴのちょうどオイシイ時間で降る予報だと言うのだから、今日はどうなることやらと今日の出演者全4組みんなドキドキでした。

案の定、セッティングを終えそろそろ始まるかというころになると、だんだん湿り気を帯びた風が吹き始めてきました。

嫌な予感はしなくもないが、なんだかんだ最後までもってしまうんだろう。

そんな考えが僕の頭の中にはありました。
こういう日って大体そうなんですよ。笑

12:30を過ぎてライヴが始まるとトップバッターの壱師美穂さんは優しくも力強い歌声で盛り上げて行く。彼女の『アネモネ』という曲のボサノヴァバージョンは初めて聴いたけど、ジリジリと熱せられたアスファルトの不快さを忘れさせる爽やかさと憂いがそこにはありました。

この曲はもともとロックアレンジなのですが、これもいいなぁ…。とてもファンです。

二番手の西海絢乃さんはジャズやラテンのサウンドの中にエキゾチックな雰囲気を合わせ持ったミステリアスさのある素敵な歌姫。

ステージ目の前のコーヒーの出店・エモコーヒーさんに捧げるコーヒールンバは、聴き手に「聴きながらコーヒー飲まなきゃ損かも!」と、つい思わせる不思議な抱擁感があります。
今日最後に歌ってくださった東日本大震災後に作ったという『祈り』は決して色褪せる事のない想いを空に向かって歌いあげているかの様な壮大なバラード。この曲、いつ聴いても沁みる。

そして三番手は内生蔵裕希さん。幅広いカバー曲を歌いこなし、歌唱の中には大人の魅力(吐息)が詰まっています。
かと思えば、青春ってこれだよね!っていう甘酸っぱさまで表現してしまう幅の広さ可愛さにお兄さん脱帽です。

今日の『世界で一番熱い夏』だったかな。歌にサウンドに勢いがあってみるみるお客さんが集まること!聴いていてとても気持ち良いパフォーマンスでした!

さて、4番手。

ついに僕です。

今日も思い切り歌います。ステージのまさしく目の前に現れた新店、クラフトビールの出店『デビルクラフト』。
なんとロックで素敵なお名前!こちらを曲の中で徹底してイジらなければ、ロックの神様からバチがあたる!

曲はもちろん、ビールのブルース。

さぁ軽快にブルースのイントロが始まります。だんだん強くなってきた湿った風は、今のこの俺を負けてたまるかと燃えさせる燃料に過ぎない。起爆剤に過ぎないのだ。

まずはバンドサウンドをバックに軽く自己紹介しましょう。

立野「え〜、立野裕明です。これから歌うのは4番手の立野裕明、立野裕明です。一緒に歌いましょう、ビールのブルース!」

今にして思えばあの時、名前を覚えてもらうために時間かけて3回も連呼するんじゃなくて、さっさと歌えば良かったのかもしれない。(ちなみに人は自己紹介で名前を3回言うと頭にしっかりインプットされるんだとか。)

イントロを1回半分くらい弾いた頃だろうか。

これまで、ただの立野裕明の燃料に過ぎなかった湿った風の中に雨粒が混じり、あっという間にちゃんとした雨に変わった。

立野「あれ?これ雨ですか?雨ですね…?これ降ってますよね?え?…演奏できませんよね?」

同時に、僕をバックで支えるバンドがイントロ24小節キッチリのところで演奏を終わらす。
ギター法西さん「撤収っっ!!」
鶴の一声で、立野「みんな!聴いてくれてありがとう!」と叫ぶ。お客さん散る。みんな慌てて機材片す。ビニールシートかける。立野、内生蔵裕希さんの傘の中に逃げ込む。

……

……以上が僕のステージの全貌です。

調子こいてマイクパフォーマンスしてたばかりに、歌うどころかギターも2秒くらいしか弾いていない。

開始から24小節で終わるライブってなかなかない。人はそれを中止と呼ぶ。

しかし僕は後悔はしていません。

〜記録よりも記憶に残る男になりたい。〜

昔、某野球選手がそんな事を言っていた。激しく賛成です。
たった24小節の演奏で、曲を歌わずとも人の記憶に残れた事を誇りに思います。(名前を3回ちゃんと言いましたからねっ)

人は経験を積むことでこうして強くなっていける。むしろ感謝しているくらいですよ僕は?

…ははっ!

(やれやれ、このあと1時間以上の中断の後、無事演奏できました。皆さんありがとうございました!(*^^*))

オマケ

終演後のバンドの皆さんのかき氷早食いバトル‼(左から、Dr.森拓也さん、G.法西さん、Ba.森本さん)